貴方に送る花束

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フィナル、それが私の名前。 リンシェ皇国、私が治める国の名前。 リンシェ皇国では〝獣王種〟と言う名の 偉大な獣と契約し、国を守る者は獣王騎士と呼ばれる。 貴方はその獣王騎士だった。 そして、貴方は転生者だった。 そんな貴方が意識を持たなくなったのは、 獣王室で起こった不慮の事故だった。 1人の研究員の不注意で起こった事故。 「おはようございます、フィナル様!」 そう言って獣王室に出掛けた貴方。 あの笑顔が失われてもう3ヶ月。 声も香りも消えたこの城内は侘しいものだ。 (コンコン) 「フィナル様、そろそろお時間です。」 ドアの外から執事が声を掛けてきた。 目の前で眠る貴方の手を強く握る。 「どうか、その色を絶やさないで…。」 その手を離し、そっと額に口付ける。 祈りと共に貴方が目覚めることを祈ります。
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