貴方に送る花束

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目覚めた時、メイドさんが確認してきた。 自分の名前とこの国の皇子の名前。 全部答えると飛び出して行ってしまった。 (爆風と裂傷痛、意識の低下…。) 俺は元々この皇国の住人ではなく転生者で、 2年間ここで暮らす内に獣王騎士なったのだ。 あの日の事故は凄く恐ろしいもので、 思い出すだけで恐怖で満ちてくる。 「ッウ…ハァ。動け___」 (バンッ!) 「カグヤ!!!__ 「フィナル様?」__」 大幅な足取りで俺の側に来て、フィナル様は俺を抱きしめてきた。心地の良い爽やかな甘い香りが鼻腔を擽る。 「もう、目覚められないかと…。 3ヶ月ずっっと!皇子と心配してました。」 「3…ヶ月?!…そんな感覚無いのに。」 フィナル様の腕から少し離されるとポンポンと優しく頭を撫でてくれたガンツェさん。ふふ、嬉しいぃ~!! ぐぬぬぅっ、と奮闘してみるものの、 やはり筋肉が上手く使えず。 (バンッ!) 「ガンツェ!!やっと見つけたぞ!!」 そんな中で突然、扉が激しく軋む音。 ガンツェさんはそちらを見て一言。 「ッチ、害虫の足止めも出来ねぇのかよ。 鍛え直しだなぁ?アイツら…。」 ヒュッ、ガンツェがガチ切れしてる?! 怖いですよ?!てか、誰のその人!!? 「(カグヤと同じ転生者なんだがな…、 喧しくて堪らん。)」 「…そんな嫌そうな顔。 ガンツェさんも嫌いなタイプですもんね。」 ギャーギャーと一応病人の部屋で喚き散らすお方を冷めた目で一瞥。 身体を寝かしてはいるものの、その轟音は些か迷惑なのですが…。
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