0人が本棚に入れています
本棚に追加
5月、新学期の緊張感も過去のものになり、生徒の殆どが慣れ始める季節。川里勇希もその1人だった。
勇希は、授業中に教室の1番後ろの席から外の様子を見つめていた。外では、2年生だと思われる先輩たちが野球をしていた。
……いいな。
勇希は、中学3年の春まで野球部に入っていた。でも、監督を殴ってしまい退部したのだ。それからは、一度もボールに触れていない。
別に、部活をやめたからと言って野球自体が、嫌いになったわけではない。むしろ、野球は好きだ。
勇希自身は、別段何か特別非出ているものは無い。野球好きの唯の、一般的な高校生である。
「なあなあ、川里」
「何?」
隣の席のクラスメイトが話しかけて来た。坊主頭の為野球部だというのはわかった。
「川里って、野球やってた?」
「…うん、小中の間はしていたよ」
「高校では、しないの?」
「うーん、興味無いな」
また、勇希は外の様子を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!