もう、帰れない

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「……こんにちは、アリス」 勇希は、学校の帰り道でいきなり変な軍服を着た左眼を眼帯で隠した男に、呼びとめられたのだ。勇希の名は呼ばれなかったが、そこには学ラン姿の男子高校生の勇希の姿しかなかった。 「人違いですよ」 「いやいや、僕は間違えないよ」 その男は、気持ち悪くニヤリと口角を上げて笑った。アリスなんて、女の子の名前だ。一度も、そんな名前で呼ばれた覚えがない。 「ククッ、そんな不信な目をしないで、可愛いね…アリス」 男は、ゆっくりと勇希に、アリスっと呼びながら近く。勇希は、後ろに下がる。でも、すぐに塀に追い込まれてしまう。 ……やばい。こいつ、イかれてる…… 「……絶対絶命だねアリス。大丈夫、僕はアリスを殺さないよ。」 「…アリスじゃない。」 「覚えてないのかな?まぁ、いい連れていければ」 バシッと、男は勇希の手首を掴んだ。抵抗しようとすると、物凄い強い力で押し付けられる。 そして、いきなり男はポケットの中からキャンディを出して、勇希の口の中へと入れた。勇希の意識はどんどん遠くなっていく。 ……ドサッ 勇希は、男に倒れこむように気を失った。男は、勇希を抱きしめて、気色悪い笑い方をする。 「アリス………迎えに来た。それじゃ、おやすみ」 「……ククッ、ルール違反のアリス。迎えに来るのが遅くなって、ごめんね」
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