春待つ、その日。

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「じゃあ、 教師と生徒じゃなくなったら 受け取ってもらえるんですか?」 「……さあね」 ちっとも私を見ない先生に腹が立つ。 レンズの向こうの伏せられた目。 先生はなにを考えているのですか? 「じゃあ私、ずっと待ってますから」 「え?」 「教師と生徒じゃなくなるその日まで、 ずっと待ってますから」 「待つな」 怒ったようにそう云われ、 びくりと身体が震えた。 「先生……?」 おそるおそる、先生の顔を覗き込む。 でも、傷ついた顔で目を逸らされた。 「待つな。 ……迷惑、だ」 「どうしてそんなこと、云うんですか……?」 俯いたら足下に とうとう水滴がぽたぽた落ちてきた。
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