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再び眼鏡をかけると真っ直ぐに私を見つめる。
「……嘘つくな」
「嘘なんかじゃ……」
じっと私を見つめる、レンズの向こうの目。
きっと先生は、私の気持ちを知っている。
「……待つなっていっただろ?」
「待ってなんかないです」
「嘘つき」
くいっと眼鏡をあげた先生に、顔が熱くなる。
……確かに。
教師と生徒じゃなくなるのを待ってた。
だから、遠くの大学は選べなくて。
そんなことは全部、先生にはお見通しなんだ。
「だから待つなっていったんだ。
こういうことになるから迷惑だ、って」
「私の勝手、です」
「恋愛なんてつまんないことで
自分の将来ふいにして、
絶対後悔しないと云いきれるのか?」
「つまんなくなんかない!」
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