春待つ、その日。

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思わず立ち上がった私に注がれる 冷ややかな視線に、 おとなしく椅子に座り直した。 「……卒業して、俺から相手にされなくて、 ああ、なんで短大なんて選んだんだって、 そうなる相原がいまから見えてる」 「先生は相手にしてくれないんですか……?」 「ちゃんと本気を出さない、 相原なんて嫌いだ」 吐き捨てるようにそう云われ、 唇を噛み締めた。 ……先生に嫌われたくない。 でも、卒業して離れてしまったら? 「悩むな。 本気になれ。 ……そしたら俺は待ってるから」 「先生……?」 あげた視線がレンズの向こうの瞳とあった。 でも、すぐにふぃっと逸らされた。 ……なぜか少し、赤い顔で。 「いつも頑張ってる相原は、その、 ……嫌いじゃない。 恋愛に真剣なのもいいが、 そのせいで他のことがおろそかになってる いまの相原にはがっかりだ」
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