春待つ、その日。

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「……はい」 「けど、 ちゃんと受験にも真剣に取り組むんだったら、 俺は、その、待ってるから。 大学卒業するまでずっと待ってるから」 照れたように先生はあたまを掻いてる。 それって……。 「先生は、その、私のこと、」 「だからそういうことも含めて “待ってる”だ」 私に全部云わせないで先生は遮った。 それは、その、 いまは云えないけどってことですよね? じゃあ、私は。 「先生が待っててくれるんだったら。 志望校、考え直してみます」 「うん。そうしろ」 ぽんぽん、先生の手が私のあたまにふれた。 初めてそんなことされて、 思わず先生の顔を見上げる。 レンズ越しに目があうと、 ……先生は真っ赤になった。
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