春待つ、その日。

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「……うん。 まあ、その」 「……はい」 ……赤い顔した私と先生のあいだに、 暫くのあいだ微妙な沈黙が訪れたことは 云うまでもない。   大学の卒業式を控え、 実家でだらだら過ごしてたその日。 佐上先生から誘い出された。 結局、 県外の遠い大学に行った私は高校卒業後、 先生と遠恋してた。 毎日メッセージのやり取りして、 長い休みのときは実家に帰るから そのとき会うくらい。 それも全部、 実家からさほど遠くない場所に 就職を決めたので、 もうお終いだ。 車の窓から見える桜並木は蕾が膨らみ、 いまにも咲き出しそうにしている。 ……今年は一緒に、お花見ができるな。 そんなことを考えてたら、先生が口を開いた。
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