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セルゲイがぼうっとしている間に、高広が運転するトラックは、くねくねと蛇行した険しい山道を登っていく。
「この山を越えたところに別荘がある。もう少しだ」
高広の言葉にセルゲイは、街灯さえ無い暗い峠の向こうを見透かそうと顎をあげる。
その瞬間、
――カッ――
ヘッドライトがセルゲイの目を打った。
ちょうど山の頂上にあたる、少し開けた場所。
そこに3台の乗用車が、道を塞ぐようにして止まっていた。
進路を塞がれて高広はトラックを止める。
エンジンはかけたままで、
「あれは、お前さんの迎えか?」
セルゲイに首を傾けてきた。
セルゲイは目をすがめて相手を眺めやる。
車のライトで眩しいが、それでも、左右の車からは2人ずつ、真ん中の車からは3人の男が降りてくる。
計7人。
「お迎えか?」
と聞かれたので、
「……さあ」
セルゲイが首を捻ると、
「セルゲイ! セルゲイ・ラバス」
中心に立つ男がセルゲイの名を呼んだ。
その声に、セルゲイの身体がビクンと反応する。
聞き覚えのあるその声――。
セルゲイが教えるより先に、高広の方が、
「あいつだな」
納得したように口にした。
セルゲイも唾を飲んで、
「ああ。『神の門』のリーダー、草壁隆也だ」
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