2 立てこもり犯

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高広が予想した通り、イワシの雨は嘘のようにあっという間にやむ。 後には戸惑った声をあげて、空を見上げながら様子を見に出てくる人々。 学校を占拠していた犯行グループも、この冗談のような現象に、事態を把握するため見通しのきく屋上にあがってきた。 屋上に続くドアの影に控えるのは、有坂龍一。 階段を上がってくる足音で、相手が2人と判断した龍一は、ひとりが屋上へ出てしまうのを見計らって、続こうとしたもうひとりに、力任せにドアをぶつける。 『出来るだけ怪我をさせねーでくれ』 高広がくれた忠告を忘れたわけではないが、頭から降られたイワシの生臭さに、これ以上ないほど辟易している。 かけたゴーグルまで、砕け散ったイワシの内蔵まみれだ。 こんな格好のつかない登場もない。 八つ当たりのように、二番目の男にドアを叩きつけ、振り返ってこちらに銃を向けた最初の男に、低い態勢から顎を跳ね上げるように肘打ちを食らわす。 男の銃がはじけ飛び、仰向けに倒れたところを馬乗りになって、顔面に一発。 戦意喪失したのを見計らって手早く拘束する。 開きかけたドアをもう一度蹴り飛ばして、扉の向こう側に確かな手応えを感じながら、縛った相手の喉を絞めて、意識を奪った。 高広が予想した通り、敵の手応えは薄いし、仲間に知らせる手腕も悪い。 相手はど素人だ、と判断した。
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