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高広がいる場所からうかがえる校舎に、目を引くような大きな動きは見えない。 龍一は、一旦行動を諦めてくれた。 そんな龍一のイヤホンに向けて、高広は口から泡を吹きながら叫ぶ。 「そうだ、スプリンクラーだよ。なんで奴らは、スプリンクラーのある理科室なんて場所を占領したんだ?  たまたま理科の授業時間だったから? 偶然? そんな発想はクソだ。他にも授業を行っていた教室はヤマほどある」 「飲料水と薬品の確保だろう」 龍一はこともなげに言うが、 「そんな頭の回るやつらかよ。あいつらが自分の怪我の心配をして、エタノールやオキシフルを手元に置いておきたいと考えるとでも? それなら保健室でも占拠するさ」 「……」 龍一が黙ってしまった上にかぶせるように、 「そうだよ。学校の中で、唯一スプリンクラーが設置されているのが、可燃性物質が置いてある、あの理科室だ。鎮圧のために催涙弾が放り込まれても、それで洗い流せるとでも言われたんだろう」 やっと高広の思考が読めたように、 「起爆スイッチは、スプリンクラーか」 龍一が唸るように続ければ、高広は、 「そうだ。スプリンクラーが作動すると、爆弾が爆発するようになってる。やつら遠隔操作なんか、初めからするつもりはなかったんだ。警察が痺れをきらして突入、催涙弾を使えば、全員アウト」 スプリンクラーのセンサーは熱だけでなく、煙でも感知して作動する。 スプリンクラーが動けば、爆弾が爆発。
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