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「それなら、そいつらは、この校舎を外から見張っていない可能性もあるんだな」
「わからねぇ。爆弾の遠隔操作は出来ねぇなんて保証してくれる者もいねぇ。でもこの事件が、そいつらの始めようとしていることの、ただの序章でしかなかったら――」
「爆弾は、見せしめってわけか」
警察が突入したタイミングで爆弾が爆発すれば、人質の生徒、犯人グループの学生、そして警察官、多数の人間が犠牲になる。
その引き鉄が、警察の突入であれば、警察への信用は失墜するだろう。
爆弾を扱うテロリストグループの華々しい幕開けとしては、これ以上ないくらいのセレモニーとなる。
爆弾魔、セルゲイ・ラバスの釈放を求める、まだ顔の見えてこないテロリストグループ。
秋場高広に爆弾づくりを依頼してきたその相手は、今回の事件を、これからの始まりにするつもりでいる。
「……やっかいなやつらに、好かれたものだな」
龍一の声音は不機嫌そのものだ。
高広は、一瞬言葉に詰まるも、
「モテすぎる人生ってのも、まあ考え物だ」
ボソリと呟いた。
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