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「――こんな茶番、二度とお断りだ」 シャワーを浴びて、やっと人心地がついた有坂龍一は、 「はぁーっ」 とでかいため息をつきながら、恨めしげに秋場高広の顔を睨む。 ずいぶん洗ったが、まだイワシの生臭さが残っているような気がする。 今ならネコでもたらし込めそうだ。 「俺は役者じゃないんだ。芝居ならこれからはお前がやれよ」 「そんなことねーよ。なかなか熱演だったぜ龍一くん」 高広は、龍一をますますムカつかせるニヤニヤ笑いを浮かべたまま、クルリと回転式の椅子を回す。 秋場家のリビングソファーに座っている龍一に、 「お前さんの名演のお陰で、死人は出なかったじゃねーか」 教室にいた人質32人、犯人グループ5人が全員体育館に駆け込んだその直後、時をおかずに理科室が爆発した。 それは高広が予想した通り、スプリンクラーの真上に仕掛けられた爆弾のせいで、もろに爆心地だった理科室は粉みじんになった。 もしもあの場に残っていれば、相手が誰であれ全滅だったろう。
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