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「それにしても、よくもまあ、あんな陽動が通用したものだ」 高広がたてた作戦は、理科室の窓全面にスクリーンを張りめぐらせ、そこに隕石落下の映像を投影するというもの。 そんなこと、普通にやれば、まっことフザけた茶番でしかないが、 「まあイワシが降るなんて天然のジョークがあった直後だからな。結構な無茶でも通ると思ってたぜ」 高広はニシシと笑う。 「俺たちは基本ツいてんだよ」 龍一は呆れた風に肩をすくめるが、高広は、 「それにアレには、お前さんの切羽詰まった声も実に理想的だった。ウケたぜ。あの『隕石だ、頭を庇え』っていう必死な声」 龍一は今度こそ腹に据えかねると、高広から視線を外してふいと横を向いてしまう。 高広が映像で思考停止させるほどのショックを与え、龍一が声の芝居で誘導する。 犯行グループを含む人間全員に、自分の足で避難させるという手段は、この場合非常に効果が大きかった。 お陰ですみやかに体育館への避難が完了。 善良な一般生徒が、校舎の3階の窓から突き落とされることもなく、全員無事だ。 あの爆心地から、見事、怪我なく脱出を果たした。
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