112人が本棚に入れています
本棚に追加
イヤホン以外の手法でなら、殺すつもりがあるのかと突っ込んでもみたいが、
「それによく、犯人たちが黙ってスクリーンなんか張らせたものだ」
龍一には他にも腑に落ちない点がある。
「やっぱり爆弾に遠隔起爆装置はついていなかったのか? あの爆発は誤爆だったのか?」
隕石騒ぎを起こした時、龍一は、スプリンクラーを作動させる熱センサーも煙センサーも反応させなかったはずだ。
隕石を演出するために、龍一が数発発砲して窓ガラスを割ったが、スプリンクラーが作動するほどの熱も煙もたててはいない。
あんな僅かな衝撃で爆弾が爆発してしまうなら、それまでにだって、どこかで爆発していてもおかしくないレベルだった。
なのに、あの騒ぎで爆弾は爆発した。
それはやはり犯人側がスイッチを押したとしか考えられないのだが、でもそうすると今度は何故、高広が隕石襲来なんてバカな演出をしている間を待っていてくれたのか、その理由がわからない。
校庭に設置したスクリーンは、スイッチひとつで一気に跳ねて広がる短時間で設置が可能だった高性能なシロモノだったとはいえ、それでも校舎を目隠し出来るレベルの巨大なスクリーンだ。
どこから見張っていても、わかる。
校舎を布で覆われたも同じだ。
それを見ていたはずの犯人が、黙って茶番が行われるのを見守っていた理由が、龍一にはどうしてもわからない。
最初のコメントを投稿しよう!