1 学校占拠

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1 学校占拠

再び秋場家のリビングに戻った龍一は、高広が3Dで起こしたその建物の立体ホログラフに目をやる。 長方形のなんの面白味もない建物。 学校だ。 どこにでもありそうな普通の公立高校の姿が、秋場家のリビングのちょうど真ん中に映像になってぽっかりと浮かんでいる。 この、今映し出されている高校に、銃を持った人間が立てこもっている。 立てこもり犯は、声明を出して存在を明らかにしているだけでも3人。 その他に何人いるかまでは、まだわかっていない。 「あの学校は内部に監視カメラが設置されていない。校門のところにあるヤツも遠目な上、学生服以外の不審な人物は写っていなかった。犯人は――」 「――内部犯か」 高広の言いにくいことを龍一が先行した。 「ああ、顔認証でも不審者が引っかかってこねぇってことは、勝手知ったる自分の学校で犯行に及んだってことなんだろうな」 それは犯人たちが同高校に通う生徒かもしれないということだ。 そしてその高広の見解を、警察機構は、疑いの目を持って受け取った。 銃なんてものを、たかが高校生が手に入れられるわけがない、という理由なのだが、それが初動捜査の遅れにつながった。 「それでわざわざ俺に電話してきたわけか」 龍一は小さく吐息をつきながら、興味深そうにホログラフに手を伸ばす。 高広が作ったそれは、龍一の指先に反応して、思った箇所だけ簡単に取り出せ、拡大縮小も可能な仕様だ。 もちろん、その場で360度回転させることも出来る。
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