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高広の言葉に、
「銃を向けてくる相手に手加減が必要だと?」
龍一は問い返す。
高広は、
「それがさっき、あんたへの依頼をためらった訳だ。あいつらは何をしでかそうとも、俺の生徒でもあるからよ」
高広の言葉に龍一は高広のプロフィールを思い出す。
いくつもの特許を取得している科学者の顔を持つ傍ら、秋場高広は近隣の高校で臨時教師を勤めることもある。
そんなほんの一時期でも関わった学生を『生徒』と言ってしまったら、どれだけ庇うべき『教え子』がこの世に存在するのか、わからなくなってしまう。
どれだけお人好しなのだと言ってやりたいが、『世紀の天才』を自負しているこの男は、自分の持論を変えることはないだろう。
そんな天才の考えることなど、龍一にはわからない。
「出来るだけ、傷つけねーで、なんとかしてやってくれ」
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