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何がしたいのか何をされているのか、さっぱりわからない。
ただ、とてつもなく凶悪な環境におかれているセルゲイを尻目に、
「見えた。あそこだ」
高広は口の中で言って、ハンドルを左に切る。
でも左側には核燃料を積んだトラックが走っている。
どんな頭で考えたって単純なはずだ。
あちらは大型トラック、こちらは小型自動車。
激突すれば、結果は見えている。
でもまっすぐ走ったとしても、前方にはロケットランチャーを構えたヘリが待ちかまえている。
小型自動車で、対戦車兵器のロケットランチャーの標的?
もう、乾いた笑いしか出てこない。
「お前、どんな恨みをかってるんだ!」
それしか思い当たらない。
味方のはずのヘリに狙われながら、大型トラックに突っ込んでいく。
秋場高広という男は、よほど業が深い星の下に生まれているに違いない。
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