7 強奪

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眩しそうに目をすがめるトラックに乗っていた男たち。 しかし別に、ビートルのヘッドライトには、特別なレーザー光線が仕込んであるわけでもない。 この場所は料金所の近くだから、周囲もうっすらと明るいし、ヘッドライトでは視力をやられるほどの強烈な光を発しない。 すぐに目も慣れる。 しかし高広は、また右手の人差し指と親指を使って、 「はい、手をあげて」 指鉄砲を形作った。 「殺しは一度覚えたらやめられないのさ」 そして懲りることなく、マカロニ・ウエスタンのセリフ。 セルゲイは、やっとその映画のタイトルを思い出した。 『怒りの荒野』1967年だ。 そんな高広のバカバカしい仕草に、あからさまに不審な顔をするふたり。 セルゲイだって、最初はそうだった。 でも、やっぱり、 「Bang! Bang! Bang!」 高広のふざけた合図と共に、男たちの足元に銃弾が着弾する。
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