8 罠

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「それで、どこへ行くんだ?」 何度目かのセルゲイの問いに、ようやく高広は、 「ん、隠れ家だよ。あいつらとも、そこで落ち合う」 答えた。 セルゲイはやっと休息が与えられると聞き、かすかに息をつく。 これで、休める。 これ以上ないほどに疲れきっていた。 「おいおい、ぼーっとしてねーで、そこの無線機ぐらい壊せよ。後をつけられたら、帰って寝る間もなくなる」 人使いの荒い高広に、文句を言う気力も残っていなかった。 言われるままに無線機のコードを乱暴に引き千切れば、ピーッという断末魔の電子音だけを鳴らして沈黙する。 「ごくろーさん」 セルゲイよりよっぽど疲れているはずの高広なのに、まだまだ余裕の表情。 セルゲイと同じように爆弾を作る知識があり、セルゲイがかつて所属していたテロリストグループからも、 「俺も爆弾を作れと声をかけられた」 そう自己紹介した高広の言葉。 しかし頭脳労働者にしては、実力行使オンリーの実践派。 しかもその実力が本物であることは、疑いようのない事実だ。 セルゲイの目の前で刑務所から脱獄を果たし、核燃料を強奪してみせた。 味方につければ、どれだけの戦力になるか計り知れない男だ。
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