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暗い。
じめじめと湿気を含んだ空気とカビ臭い臭気に普通の人間なら顔をしかめるだろう。
光といえば、目の前の扉の隙間から僅かに、弱りきり頼りない明かりが覗くだけだ。
囚人である男はそんな地獄にも似た場所にいた。
決して居心地は良くない。しかしここから出ることはできないし出る気もない。
いつからここにいるかは覚えていない。何年、いや何十年もいたのかもしれない。しかしそれだけの年月など小さなものだ。
ここがどこかと言われれば分からない。ただ、どこかの監獄の中の地下深くなのだろう。囚人を捕えておくにしてもお粗末過ぎるこの監獄に入れられるということは、言ってしまえば死刑宣告と同等だろう。
たまに、威勢のいい囚人がどこかの部屋に勾留されることもある。
どれだけ騒ぐ奴も、どれだけ罵詈雑言を言う奴も三日もすれば静かになる。他に聴こえてくるとしたら頭のおかしくなった奴の意味不明な奇声だけだ。
まあそれでも一年以上同じ声を聴き続けることはない。
人間の生きていける環境ではない。飯も死なない最低限の物しか出てこない。衛生面など考えられていない。実験モルモットでももっとましな待遇だろう。
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