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「おい佐藤」
「うん? 何だい佐藤君」
お互いを呼び合った僕らは、互いを見つめて沈黙する。
苗字は同じなのに全く持って似ていない僕らではあるけれど、僕達が『僕ら』であることを、お互いが良く知っていた。
「……やめようか、こんな紛らわしいこと」
「俺達がこんなことやっても意味ねぇしなぁ……」
思わず、というように口元を緩める。
僕達は自分の分身を見て、笑いあった。
「帰ろうか、俺」
「うん、帰ろっか僕」
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