恋しさのカタチ──奇跡の街にネコが降る・番外編

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 ──それは雪の結晶のカタチをしていた。  それを見たとき、あの人が私を呼ぶ声が心で響いた。心の汚れを流してくれる声だ。  どんなに汚い汚れでも雪のように覆い隠すものではなく、解けて流れるものだとその雪の結晶が教えてくれる。  この雪が解けたなら、ヨウカンと一緒に公園に行こう。  白い雪の色を残したハナミズキを見に行くのだ。  あのハナミズキが温かい光を求め花咲かせたくて、雪が解けて春がやって来るのを、ずっと待ってるから。  ──恋しさのカタチ 終。
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