思い出

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そんな風に感じていると、 なんだかわたしの体が小さくなってきている気がした。 猫が大きくなったんじゃなくて、 自分が小さくなっているのだ。 そうだ、 子どもの頃には大人の猫はとっても大きく感じた。 面倒くさそうにしている猫の顔なんかおかまいなしに、 小さな体で大きな猫を、不格好に抱っこした。 暖かくて、柔らかい、ふわふわした生き物を 体いっぱい抱きしめて、満足していたことを思い出す。 同時に、楽しいことに夢中になり過ぎて、 まわりが見えなくなって、 気がついたら知っている大人は誰もいなくて、 一人ぼっちで迷子になっているような そんな気持ちも思い出した。
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