プロローグ

4/10
前へ
/3000ページ
次へ
   結婚して、多少だが性格がきつくなったかもしれない。  特に二人で出資して始めた、この店ダーツバー【サウザンド】に出てる時。オレに対しての物言いは、特に厳しい。  二人きりだと、また違うんだが。  関西商人の本能と言うか、根っからの接客好きがそうさせるのか。従業員の接客態度には、ことさら厳しい。  そう考えると、一番の被害者は土井くんになるのか。  土井くんとは、オレが通っていたショットバー【シルフ】の元バーテン。無類の女好きにして、超が付くいい加減な男だ。  そいつを、ちひろが引っ張ってきた。 「それで、土井くんは?」 「今日も、ギリギリで遅刻じゃねぇのか」  ギリギリで遅刻と言う、おかしな日本語でちひろに答える。そうしながら、ある程度の開店準備を終えて、フロアのテーブル席の一つに座る。  ちひろも、オレの向かいに座る。 「土井くん、どうするの?」 「クビだよ、クビ」
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加