図書委員

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図書委員

 窓の外からたくさんの声が聞こえる。  今日はどこのクラブも休みだから、みんな気ままなドッチボールをしてるだろうな。  でも俺は、こんな日に限って委員の仕事だ。  推薦で無理矢理選ばれた図書委員。確かに本も読むけど、それは趣味のトップでも何でもなくて、漫画やゲームの内容の元になった物が書いてある本があるって聞いたから、どんなのだろうって興味を覚えて色々読んでいた、それだけだ。どっちかっていったら外でみんなと走り回ってる方がいい。  みんなだって、ホントは俺がそういう奴だって知ってるくせに、委員が嫌で押しつけたんだ。ずりーよなぁ。  とりあえず、五時までここにいないといけない。人なんかほとんど来ないからすっげー退屈。  学校にゲームは持ち込めないから、図書室じゃ、本読むくらいしかすることなんてない。で、暇潰しの現場をうっかり見られようものなら、やっぱりあいつは本が好きだと、次も図書委員を押しつけられるんだ。  ああもう、勝手にしろよ…なんてことを思ってい時だった。  ふいに扉が開き、入ってきたのは学校のアイドル。  隣のクラスの静沢さん。いかにもお嬢様ってカンジの、ウチの小学校一のかわいい子。  図書室にやった来た静沢さんが棚の方に向かう。目で追っていたら、いかにも何かを探しているといった様子だった。 「あの、何か、探してる?」  どうしようかとたっぷり迷ったけれど、思い切って声をかけてみると、彼女は俺の方を見て一冊の本のタイトルを口にした。  その居場所を、俺は幸いにも知っていた。…前に暇すぎた時、棚の端から端まで一生懸命編のタイトルを覚えてみる、なんてバカな一人遊びをしていたおかげだ。
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