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晴惹は黒板に教師よりも綺麗な字で、すらすらと問題を解いていった。
クラスの全員がまた「人気者」のことを尊敬、いや好きになったに違いない。
でも、俺は好きになってはいないから、(感謝はしているけど)全員ではないか。
午前の授業はこれで終わりだ。食事にいく前に、晴惹にお礼を言いにいかなければ。俺の好きな北海道産ミルク飴を持って。特別に、三個も用意したんだ。これで借りはなくなるはずだ。
友人等に囲まれて学食にいこうとしているだろう、晴惹に声をかける。
「………あの、」
聞こえるだろうか。聞こえてなきゃ、お前の耳は存在しないのかと思うところだが(実際虫の息より小さい声だったとは思うが)
人気者スキルというまでもなく、
「ん?どうした?」
と爽やかな笑顔で答えてくれた。
教室の外に出て、人がよりつかない廊下まで案内までしてくれた。
人払いをしてまで話す内容でもないんだが、気を使ってくれたんだろう。ありがとう、晴惹。
「で、佐藤君。話って……なに?」
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