平成27年10月6日

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「……は?」 教師がいきなり俺に問題をふってきた。授業中空気な俺にさす必要ありますかね。先生。 しかも、今考え事をしていた最中だっていうのに。黒板に書かれた公式、まだ解いてもいない。やばい。困った。クラスの視線が全部俺に向いている。この状況は、テンパる。 高校二年生の10月にもなって、あまり仲の良い友人がいなくクラスに馴染めもしていない俺が、この場面で慌てふためくのも仕方のないことだと思うんだ。どうしよう。 「……えっと」 その時だった。俺の斜め前の席の「人気者」が、いきなり立ち上がったんだ。 「先生。その問題俺もう解けてるんですけど、佐藤君の代わりに俺が解いてもいいですかね?」 ざわわ。教室がざわめく。にこっと笑って(背中しか見えないが、そういう風に見える)黒板の前までいく。 「ね、いいでしょ?先生」 「全く……。佐藤はそれでいいか?」 「いや、あの、俺は助かるんですけど……」 「じゃあ晴惹にお願いしよう」 「らじゃ!」 「人気者」。ありがとう。今初めて感謝をしたよ。晴惹(ハルヒ)というんだな。覚えたよ。クラス一年の時も一緒だったはずだが、名字しかしらなかった。というか「人気者」というあだ名で呼んでいたこともあってか、覚えられずにいた。
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