第二話『プリティ・ウーマン』

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「アレはいいよ。ピラミッド型の頭と巨大な剣を持つ筋肉質の男なんだけど、不気味さだけじゃなくて、神々しさも感じるんだよね。ファンには様づけで呼ばれているし」 「ホラー映画の登場人物か」 「元はゲームだよ。二〇〇六年に映画化もされたけどね。そのフィギュアが三万円ぐらいするの」 「三万円ぐらいなら、ここのバイト代でなんとかなるんじゃ?」 僕の質問に、亜里沙さんが人差し指を左右に動かした。 「たしかにそれだけならね。でも、私、毎月ホラー映画のブルーレイもいっぱい買っているから…………あっ! 思い出した。あなたに貸した一九八一年版『死霊のはらわた』観た?」 「観たよ」 「で、どうだった?」 「怖かった」 「はぁ? 一行感想って小学生?」 亜里沙さんの眉が吊り上がった。
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