第二話『プリティ・ウーマン』

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「『ショーシャンクの空に』はすごく感動したって言ってたくせに」 「いや、『死霊のはらわた』で感動はしないだろ? ホラー映画なんだから」 「そんなことはないって。恐怖と感動は紙一重だから」 「感動ねぇ…………」 ホラー映画好きの人には、そんな感覚があるのかな。 僕は怖いものは怖いとしか思えない。 口から牛乳みたいな液体が出るシーンは気持ち悪さもあったし。 「ほんと、亜里沙さんはホラー映画が好きなんだな」 「日常と違う世界に憧れがあるの。あなたにはそんな気持ちはない? 死を間近に感じる人生を送りたいとか」 「リアルでは普通の人生が一番だよ」 「…………つまんない大人」 亜里沙さんが冷たい視線を僕に向ける。
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