第二話『プリティ・ウーマン』

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「命か…………」 「映画館の経営なんて辞めて、このビルごと今のうちに売ったほうがいいのに。あの子ったら、デジタル設備を導入するのにお祖父ちゃんの遺産の半分と自分の貯金を全部使ったのよ。未来のない映画事業にそんな投資をするなんて、バカだと思わない?」 「僕は映画関係には詳しくないから、その投資がいいのか悪いのかがわからないです」 「映画に詳しくないのにスタッフになったんだ?」 「千映さんが無職になった僕を助けてくれたのかもしれません。本人は否定していましたけど」 「ん? それなら千映のほうがあなたにお熱ってことか」 「それもないと思いますよ。千映さんと僕の会話って、映画と仕事に関係することばっかりだから」 無意識にため息が漏れた。 あれ? なんで僕はため息をついたんだろう?
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