第二話『プリティ・ウーマン』

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美亜さんの唇の両端が吊り上がった。 「ねぇ、あなたの名前は?」 「僕は瀬川…………瀬川悠人です」 「ふーん、悠人君か。悠人君から千映にアプローチしてみれば?」 「だから、僕は恋愛のことを考えている状況じゃないんです」 「仕事と恋愛、両立させればいいじゃん」 美亜さんは人差し指を立てて、僕の胸をつつく。 「ねぇ、悠人君。千映のこと綺麗って言ったよね?」 「え、ええ。千映さんは綺麗で美人だと思いますよ。千映さん目当てに映画を観に来るお客様も数人いますし」 「他人のことはどうだっていいの。悠人君が千映をどう思っているかが重要だから。千映があなたのことを好きって告白してきたら断るの?」 「そ…………それは…………」
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