第二話『プリティ・ウーマン』

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「…………それで何の用なの?」 千映さんが不機嫌そうに美亜さんに質問する。 「ちょっと、今度の仕事を手伝って欲しいのよ」 「また? 前に手伝った時に、これで最後って言ったよね?」 「しょうがないでしょ。うちの唯一の社員が骨折して入院中なんだから。とりあえず、明日、依頼人に会って欲しいの」 「明日? 明日ならどっちにしてもダメだよ。私、印刷屋さんとの話し合いがあるから」 「はぁ? そんなのキャンセルすればいいでしょ」 美亜さんが片方の眉を吊り上げた。 「どうせ、客が来ない映画のチラシの印刷でしょ? そんなのやらなくてもいいって。というか、もう、映画館の仕事なんて辞めちゃいなよ。うちの探偵事務所であなたを雇ってあげるから。そのほうがあなたの能力を発揮できるでしょ」 「私は探偵なんてやる気がないし、一生、映画館の仕事を続けるから」 「…………ほんと、頑固なんだから」 「第一、お姉ちゃんの探偵事務所だってそんなに儲かってないでしょ?」 「だから、あなたの力を借りたいのよ」 美亜さんは千映さんの手をしっかりと握った。
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