第二話『プリティ・ウーマン』

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「名作ねぇ…………。そんなに面白いの?」 「そう思っているから、うちの映画館で上映しているの。ストーリーはね、仕事のことしか考えてない実業家のエドワードが威勢のいい娼婦のビビアンと六日間のアシスタント契約を結ぶの。最初はちょっとした気まぐれだったのにエドワードはビビアンの魅力に惹かれていく。そしてビビアンも…………」 「はい、そこまで!」 美亜さんは喋っていた千映さんの口に右手を寄せた。 「今は映画の話をしている場合じゃないの。とにかく、明日、探偵事務所に来て」 「だから、それは無理なの!」 「美しく聡明な姉を助けたいと思う気持ちはないの?」 「予定が入っているんだから、どうにもならないよ」 「予定なんか、どうでもいいの。姉こそが正義! 姉を讃えよ! それが、現金袋…………いや、妹であるあなたの義務よ。V姉! V姉!」 「『マッドマックス』っぽく言ってもダメっ!」
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