第二話『プリティ・ウーマン』

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僕は二人の会話を無言で聞いていた。 いつもは敬語が多い千映さんもお姉さんとの会話だと言葉使いが変わるんだな。 家族なんだから当たり前か。 でも、こうやって二人が話しているのを見ていると、やっぱり姉妹だ。 外見がすごく似ている。 美亜さんのほうが派手だけど。 「そうだ!」 突然、美亜さんが僕の手を掴んだ。 「それなら、悠人君が私の仕事を手伝って」 「えっ? 僕が?」 僕はまぶたをぱちぱちと動かした。 「なにを言ってるんですか? 僕に探偵の仕事なんてできるわけないですよ。それ以前に、僕には映画館の仕事がありますから」 「二、三日で終わる仕事だから、その間、休めばいいでしょ。どうせ、千映がここにいるのなら問題ないだろうし」 「そんなことを雇われている僕が決められるわけないですよ」 「それもそうね」 美亜さんは視線を千映さんに向ける。 「ってことで、悠人君を借りるね。あなたは依頼人に会うだけでいいから」
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