第二話『プリティ・ウーマン』

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美亜さんが帰ると、千映さんが僕に頭を下げた。 「ごめんなさい、悠人さん。姉の仕事を手伝ってもらうことになって」 「いえ。僕は大丈夫ですよ。それに印刷屋との話し合いがあるのなら、千映さんがこっちにいたほうがいいから」 「とにかく、朝に姉の探偵事務所に案内しますから」 「美亜さんの探偵事務所ってどこにあるんですか?」 「ここから徒歩で十分ぐらいの場所です。海側にある小さなビルの二階」 「それなら楽でいいな」 そう言いながら、僕は千映さんの顔を見る。 「やっぱり、似てますね」 「性格は全然違いますけど」 千映さんはため息をついて、セミロングの黒髪に指をからませる。
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