第二話『プリティ・ウーマン』

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「その通りだよ。君はやっぱりスゴイね」 「いえ。映画を観ていた時には気づいていませんでした。原田さんが仕掛けと言ったから気づいたんです」 「そうだね。こうやって仕掛けと言えば何人かは気づくだろう。でも、麗華は先に言ったんだ。『登場人物の名前が繋がっていますよね』って。編集の三木さんにも伝えていなかったし、ネットでもこの情報は流れていなかった。まあ、本編とは関係のないちょっとした遊びだったから、気づかれないのが普通だと思っていたが」 原田さんは視線を美亜さんに戻す。 「と、それがきっかけで麗華と連絡先を交換したんだ。その後は何度かデートをして、彼女の魅力に気づいた。頭が良くて、優しくて、気遣いができる美しい女性だとね。僕は玉砕覚悟で彼女に告白したよ。そうしたら…………」 「オッケーをもらえたんですね」 「ああ。その時は本当に嬉しかった。僕みたいなさえない男に美人の恋人ができたんだからね」 「でも、九…………原田様はお金持ちですよね?」
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