第二話『プリティ・ウーマン』

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美亜さんの言葉に、原田さんの眉間にしわが刻まれた。 「たしかにお金が目的の女性には、僕の経済力は魅力的だろう」 「彼女もそうかもしれないと?」 「…………そうだ」 痛みに耐えるような顔で原田さんは頷いた。 「最初はそんなこと思っていなかった。デート代も割り勘だったし、麗華はなにも欲しがらなかったから」 「それは職業的には珍しいかもしれませんね」 「だろうね。趣味が読書のキャバ嬢もあまりいないと思う。僕がキャバ嬢を主役にした新作を書きたいと言ったら、麗華はいろいろとアドバイスをくれたよ。おかげでリアルな人物描写ができたし、素晴らしい作品が書けたと思っている」 「新作のジャンルもホラーミステリーですか?」 美亜さんの質問に、原田さんは首を左右に振る。
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