第二話『プリティ・ウーマン』

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「『死の歯車』は絶賛してくれたんだけど、恋愛物はもともと興味が薄いらしい」 「それは残念ですね。せっかく、麗華さんをモデルにしたのに」 「しょうがないさ。小説の好みは人それぞれだからね。お世辞で好きなんて言われるよりはよかったと思っているし、そのことは問題じゃないんだ」 「では、麗華さんがお金目的だと思った理由はなんですか?」 「一週間前に麗華から五百万円貸してくれって言われたんだよ」 「五百万…………」 「親が癌になって、治療費がかかるんだってさ。それで僕はすぐに貯金を下ろしたよ」 「えっ? もう、渡しちゃったんですか?」 「ああ。僕にとってはなんとかなる金額だったからね。でも、その後、すぐに追加で三百万円貸して欲しいと言ってきたんだ」 「追加で三百万…………」
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