第二話『プリティ・ウーマン』

36/89
前へ
/258ページ
次へ
美亜さんの整った眉がぴくりと動いた。 「それは…………言いにくいんですが怪しいですね」 「そうだな。さすがに僕も麗華に不信感を持ったよ。もしかして、僕と交際しているのは金の為じゃないかって」 「それで私たちに調査してもらいたいと?」 「…………本当は麗華を疑いたくはないし、探偵を使うなんて裏切り行為かもしれない。だけど…………」 「いえいえ。その状況なら疑うのは当たり前ですよ。別に悪いことじゃありません。私だって、昔つき合っていた彼氏に浮気疑惑があった時、彼のスマホのパスワードを三日かけて破りましたから」 そう言って、美亜さんは胸を張った。 自慢のつもりだろうけど、原田さんはちょっと引いている気がする。 「とにかく、我が朝霧探偵事務所におまかせください! 深淵の中にある謎も解き明かしてみせましょう。真実は事実です!」 これが美亜さんの決め言葉か。 でも、あんまりかっこよくないな。真実は事実って、そのまんまじゃないか。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加