第二話『プリティ・ウーマン』

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「悠人君はどう?」 美亜さんが僕に質問した。 「なにか気がついたことはない?」 「え? 僕ですか?」 「そうよ。あなただって、朝霧探偵事務所のスタッフなんだから」 「今回限りですけど」 僕は原田さんの話を思い出す。 「…………まあ、普通に考えるならお金目当てじゃないんですか。癌の治療には保険が利かないものもあるだろうけど、八百万円はちょっと多すぎる気がします。それに入院先を原田さんに教えていないみたいだし」 「私の考えと同じね。悠人君にも探偵の才能があるみたい」 「いやいや。誰だってこの話を聞いたら、お金目当ての可能性を考えますよ。それも当たっているかどうかわからないけど」 「本当に治療費のためにお金を借りたってこと?」 「その可能性もあると思います」 「そりゃあ、可能性で考えたらなんでもあるけどさ。あのキャバ嬢がCIAのスパイの可能性だってあるし、宇宙人の可能性もある」
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