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十分後、千映さんは映画館に戻り、僕と美亜さんは車で麗華さんのアパートに向かった。
麗華さんのアパートの近くにある公園の前に車を停めて、美亜さんは助手席にいる僕にあんパンと牛乳を差し出した。
「やっぱ、張り込みをするなら食事はあんパンと牛乳だよね。あ、牛乳飲める?」
「はい。ありがとうございます」
僕はあんパンの袋を開けながら、数十メートル先にある麗華さんのアパートに視線を向ける。
アパートは二階建てでクリーム色の壁が汚れていた。
あまり家賃が高そうなアパートには見えない。
「こんなアパートに住んでいるってことは、麗華さんはお金持ちってわけではなさそうですね」
「お金がないから、キャバ嬢みたいな仕事をするんだよ。あれはあれで大変だからね。毎晩お酒を飲んで、体を壊す子も多いらしいし」
そう言って、美亜さんは牛乳パックにストローを突き刺す。
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