第二話『プリティ・ウーマン』

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「で…………た、対象者は?」 「ちゃんとマークしていますよ。多分、この道なら海に行くんじゃないかな」 「海…………か。病院に行かないのはやっぱり怪しいかな」 「そうですね。でも…………」 「でも、なんなの?」 「さっきから表情が暗いんですよ。もしかして、親が癌の話は本当なのかもしれない」 「甘いね、悠人君は」 美亜さんは数十メートル離れた麗華さんに視線を向けたまま、唇を動かす。 「久しぶりの休みにぶらぶらしている時点で、ほぼ、親が病気はウソだから」 「だけど、麗華さんが原田さんを騙していて、五百万円を手に入れているなら変じゃないですか? それだけのお金を手に入れたのに、休みの日に近所をぶらぶらしているだけですよ?」 「たしかにそれは変だけど、追加の三百万円を手に入れるまでは大人しくしているのかもしれない。いや、もっと原田さんから搾り取ろうと思っているのかも。なんせ、原田さんの貯金は一億円以上だからね」 「一億円以上か…………」
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