第二話『プリティ・ウーマン』

51/89
前へ
/258ページ
次へ
「で、どっちがいい?」 「どっちって、なんですか?」 「ラブラブの恋人同士のふりか、別れ話の最中の恋人のふり。ラブラブのパターンの場合、この場であなたから私にキス。別れ話のパターンの場合、私があなたの頬を叩いた後、最後のキスって流れよ」 「どっちもキスする流れじゃないですか!」 「別にキスぐらいいいでしょ。千映だって許してくれると思うし」 「…………同僚が昼食の場所を探しているパターンでいきましょう」 「えーっ! それは面白くないなぁ」 「面白くなくてもいいでしょう。目的は麗華さんに尾行と気づかれないことですから」 そう言って、僕は瞳だけを動かす。 いつの間にか、麗華さんの姿が消えていた。 「美亜さん、麗華さんがいなくなってます」 「う、ウソっ! まさか、尾行がバレた?」 「それはわかりませんけど」 「とにかく追いかけるよ! 急いで!」 「は、はい!」
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加