第一話『ショーシャンクの空に』

15/97
前へ
/258ページ
次へ
「…………いや。わからないよ」 暗い声が自分の口から漏れる。 「倉庫には誰でも入れるし、あのデジカメは手の平サイズだから、閉店の後に服に隠して持ち出すことができる」 「そうっすね。誰が犯人でもおかしくない…………か」 「藤崎店長は、僕を犯人だと決めつけているけど」 「そりゃあ、瀬川さんはデジカメ担当ですからね。疑われるのは仕方ないっすよ」 「梶原君は何か知らないかな? あのデジカメの在庫は三日前に入ってきたばかりだから、その後に盗まれたことになるんだけど」 「…………入ってきたのは十二台でしたよね? で、売れたのが三台で、盗まれたのが二台か…………」 「三台じゃないの?」 石川さんが、梶原君の間違いを指摘した。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加