第二話『プリティ・ウーマン』

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レストランに入ると、窓際の席で麗華さんがスマートフォンを触っている姿が見えた。 僕たちは、その後ろの席に向かい合って座る。 美亜さんはテーブルの上に置いてあったメニューに手を伸ばした。 「ねぇ、悠人君。ちょうどランチやっているみたいだよ」 「あ、ああ。それなら、ランチにしようか。美味しそうだし」 「じゃあ、私が頼んじゃうね」 美亜さんは慣れた様子で店員さんに日替わりパスタのセットを注文した。 にこにこと笑っているけど、後ろの席に座っている麗華さんに注意を払っているのがわかる。 「…………で、午前中の仕事大変だったね」 「仕事…………う、うん」 「まさか、日経平均があんなに下がるなんて、びっくりだよ」  日経平均? もしかして、投資会社の社員のふりをするのか?  投資のことなんて、僕はなにも知らないのに。 とりあえず、話を合わせないと。
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