第二話『プリティ・ウーマン』

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「分け前のことでさ」 「分け前?」 男の声が荒くなった。 「それは今まで通りでいいだろ? 俺が七でお前が三だ」 「それじゃあ、私の取り分が少なすぎるよ。特に今回は五百万円だし、追加で三百万円も手に入るかもしれない」 麗華さんが言った数字に、僕と美亜さんの体がぴくりと動いた。 五百万円って、原田さんから受け取ったお金と同じだ。 それに追加の三百万円も原田さんが言ってた情報と合っている。 麗華さんが肩をすくめて、ため息をつく。 「あの調子なら、まだ引っ張れると思うよ。それなのに私の取り分が三割なのは納得いかないなあ」 「お前、そんなこと、今まで気にしていなかっただろ?」 サングラスの奥にある男の目が険しくなった。
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