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「まさか、ホストかなにかに貢いでいるんじゃないだろうな?」
「そんなんじゃないって!」
麗華さんが短く舌打ちをした。
「とにかくさー、せめて私の取り分は四割にしてよ。それだけのリスクはあるんだから」
「…………わかったよ。お前なしには無理な仕事だからな」
「やった! ありがとう。お…………三木さん」
三木さん? 三木って原田さんの知り合いの編集がそんな名字だったはず。
まさか、その三木さんなのか?
美亜さんもそのことに気づいたようだ。胸元のポケットに入れていたボールペンを触りながら立ち上がる。
「ちょっと御手洗いに行ってくるね」
そう言って、美亜さんは麗華さんたちが座っている席の横を通り抜け、トイレに向かう。
そうか。さっきのボールペンはペン型のカメラだな。証拠を残すために男の写真を撮ったんだ。
麗華さんと三木さんは僕たちが探偵だとは気づいていないようだ。
三木さんが新車を買った話を麗華さんにしている。
二人の笑い声を聞いて、僕は暗い気持ちになった。
こんな結果になるなんて、原田さんはショックだろうな。
『プリティ・ウーマン』ではお金持ちと娼婦の恋は上手くいったけど、現実は違うってことか…………。
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