第二話『プリティ・ウーマン』

61/89
前へ
/258ページ
次へ
「団体のお客様?」 「ええ。風俗関係のお仕事をしている女性の皆さんです。『プリティ・ウーマン』を前に観たことがある方がいて、仕事仲間に勧めたみたいですね」 「風俗関係の女性なら、『プリティ・ウーマン』をより楽しめるかもしれませんね。ヒロインの職業が風俗関係だから」 「はい。映画が終わった後、皆さん、目をきらきらさせていました。ヒロインのビビアンに共感したんでしょうね。ハッピーエンドで余韻もいいし」 「…………現実でもハッピーエンドを期待していたのに」 僕のつぶやきに、千映さんの表情が曇った。 「そうですね。映画ならバッドエンドも嫌いじゃないんですけど」 「そうなんですか?」 「バッドエンドでも素晴らしい作品はいっぱいあるんです。特にホラー映画はバッドエンドにすることで、観客を最後まで怖がらせてくれますし」 「たしかにホラー映画はバッドエンドのほうが楽しめるかもしれませんね」
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加